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2021.3.19 シセラ2019の[紅差し]に思うこと

本日、メンバーズの皆さまへ1月初旬に先行でお届けした、シセラ2019紅差しの一般販売が始まった。

シセラの仕込みは、自分にとってとても新鮮でアグレッシブな作業だ。それはワインの仕込みとは違い、前例がないことが一番の理由。当たり前の作業が何一つなく、全ての製法を無の状態から作り上げて行く。しかも発酵作業は、やり直すことができない一発勝負である。

2018年のファーストヴィンテージは、今までのワインづくりで培った様々な製法から、シセラづくりに適すると思われるものを選択する段階であったが、2019年は、冷静に前年の分析からシセラづくりに最適な製法が想像できた。シセラ2019紅差しは、“シュール・リー”によって温州みかん独特のブーケを創り出し、熟成が進むにつれて生果のみかん以上にみかんの風味を感じ、今まで味わったことがないはずなのに、どこか懐かしいような、全く新しいシセラの風味を強く感じることができると思う。それは、ぶどうから造る白ワインの風味とは異なる、とても不思議な感覚だ。

[紅差し]というネーミングは、地元の方たちが収穫期を迎えたみかんがより濃く色づくことを「紅が差す」と言うことに、シセラ専用みかんのあり方(シセラに使用するみかんは、しっかり樹上で完熟したものから順次収穫して仕込む)と、この言葉に郷愁を感じたことがひとつ。また、花嫁の今後の幸せを願って母親が口紅をつけるという「紅差しの儀」に、子を思う親の強い愛情を感じることが、これまでのシセラ誕生の過程とこれからの発展に想いが重なり名付けたものだ。

しかしながら、この2019年シセラ紅差しを試飲すると、この風味を土台としてこれから進化させていく青写真が浮かんだ。したがって2020年は、紅差しという名をはずし、「シセラ」として新たに歩みだすことを決めた。



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