先日、今期の醸造所ショップを終了いたしました。今年もたくさんの方が訪れてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。直接お会いしてワインやシセラのことをお話しすると、ついつい熱が入りすぎて長時間になってしまい毎回反省を繰り返していましたが、とても楽しい時間でした。
さて、ぶどう畑では、全てのハチネットの設置が完了しました。しかしその代償は大きく、私は慢性的な肩こり、ヴィニュロンヌは慢性的な両手首の腱鞘炎という持病を抱えることとなりました。今年は豪雨と猛暑という、人にもぶどうにも大変過酷な栽培条件ですが、それでもなんとかベレーゾンから収穫期へとたどり着きました。そんな中でも健全に成長したヤマソービニオンを前に、あらためてその強さを再確認することができました。ヤマソーは学生時代から30年に渡り様々な地域で生育特性や気候に対する適応能力を観察してきましたが、今年ほど過酷な条件下での栽培は経験がありませんでした。5月と7月の大雨では多くの新葉が叩かれ、残された健全な葉も寛大に昆虫たちに食べさせながらも必死に副芽を伸ばし、8月には新しい葉を充実させて果実を色付かせるまで成長しました。この誠実さと健気な姿は、私には到底真似ができません。ヤマソーは偉大です。
一方、ピノノワールは露地のヤマソーよりちょっと過保護に、同じく雨に弱い生食品種とともに神田の屋根付き畑でスクスクと育っていましたが、こちらも異常気象に負けず最高の状態で成長し、いよいよ本日収穫となりました。収穫は、一年間の栽培の成果を確認すると同時に、そのぶどうをじっくりと観察して、どのように仕込み、どんなワインにするかを想像するための大事な作業ですので、二人だけで行うことにこだわります。これから約2ヶ月間は、決断に苦悩する日々が続くのです。それぞれの持病と戦いながらも、大きな幸せを感じて収穫と仕込みに臨みたいと思います。
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