Acerca de
ワインの程よい酸味が、
ソースの風味を引き上げてくれます
Miyauchi Saburo × Domaine Pinot Livre
from SABURO-TEI
中華レストランから料理人としてのキャリアが始まり、その後、和洋中それぞれのジャンルを経験しました。そんな時に、イタリアンを勉強したいと思い、偶然ピザ窯のあるピッツェリアで働き始めたのが石窯料理との出会いです。その店では、ピザ以外にも肉とか魚とか野菜とか、なんでもピザ釜で焼かれていて、とても新鮮で興味が湧きました。休憩時間にかぼちゃを丸ごとアルミホイルで包んで石窯に入れておいて、休憩時間が終わったらちょうど火が通ってるとか。そんな面白い調理方法に出会い、今まで自分が経験したいろいろな料理も石窯でできるんじゃないかなと思ったんです。ただ焼くだけじゃなく、燻製であったりとか、煮込み料理とか、なんでも出来そうだなと。それでさっそく家で試行錯誤しながら自分の石窯を作って、いろいろな料理を試し始めたのが、今の店舗に繋がっています。
大島に現店舗をオープンさせたのは、料理人としてさまざまなジャンルの料理で経験を積む中で、その着地点として、石窯を軸に自分の店舗を構えたい、妻の地元である大島で店をやりたいと考えたからです。そう思ってから、ずっと良い場所を探していたんです。だけど景色が大島らしい場所はなかなか見つからなくて・・かれこれ3、4年探してやっと出会ったのがこの場所でした。ここは山道に入ってからお店に入るまで海が見えないんですよ。だけどお店の小さな橋を渡って、店内に入った途端にぱっと景色が開けて、森から海、島と空がよく見えるんです。店の大きなガラス壁が一つの絵で、額の中に景色が入っているみたいな感じがすごく好きなんです。
さらに大島は自然がとても豊かな場所で、海の幸も素晴らしく、農家さんもこだわって作っておられた方が多く、その作り手の方々から直接良い食材を仕入れさせてもらえています。ドメーヌ ピノ・リーブルさんもその一つ。このワインを飲んでみて、まず感じたのが広がる香り。複雑な香りがします。抜栓した後でもこの赤ワインは他のワインよりも、風味がすごく長持ちしますね。若い時期のワインだったら開けてちょっとおいておく、するとまろやかになってとてもいい感じになります。一般的に赤ワインはやっぱり肉が合いますが、個人的にこのワインと合わせて好きなのは、魚の煮付けです。薄い味の煮付けじゃなくて、照りっ照りに煮詰めた脂の乗っている魚のアラの煮付けと合わせたら最高ですね。みりんと相性がいいので、すき焼きとか、甘辛い感じと相性がいいと思います。
今回このワインと合わせたのはローストビーフと並んで当店の一番人気メニューである石窯で焼く「さぶろう亭の煮込みハンバーグ」です。このハンバーグのソースとワインの相性が抜群に良いんです。この自家製ソースは、ガラスープと和風出汁の二つのスープを合わせ、醤油・みりんを入れて仕上げた和風のデミグラスソースです。ハンバーグを一口食べた後に、口の中をワインで流すと、ワインの中に感じる旨味とこのソースの相性がすごく良いと感じるんですよね。ほどよく酸味もあるので、このワインが口の中でソースの風味を引き上げてくれる感じです。
ペアリングをするときに考えることは、ワインと料理の共通点を見つけることです。料理の香りであったり味わいと、ワインの中にある共通点を見つけてより高め合うのがいいですね。
赤ワインと魚の煮付けを合わせるのも、このワインから何となく感じる出汁感(旨味)と、魚とみりんなどの和風の調味料との相性がいいからかなと思います。皆さんもぜひ試してみて下さい。
[料理名]
さぶろう亭の煮込みハンバーグ
宮内 三郎 Miyauchi Saburo
さぶろう亭 オーナーシェフ
1977年広島県庄原市の山奥で生まれる。大阪あべの辻調理師専門学校にて料理の基礎を習得後、ホテルオークラ神戸の中華レストランからキャリアをスタート。海鮮和食レストラン、鉄板焼きレストランなど、ジャンルに囚われることなく幅広く料理の研鑽を積む。そしてその中で、石窯の魅力と可能性を感じ、奥さまの実家のある山口県の周防大島で「石窯カフェ&レストラン さぶろう亭」をオープン。